当クラブの約束

1.週末練習1/4ルール(土日祝のいずれか週1回、半日以下の練習)

週末1/4 ルールとは、週末の2日間を土日でそれぞれ午前と午後の4つに分け、そのうちの1つを野球の活動に使うという考え方です。ず、この1/4ルールというシステムを考案されたのは、つくば市の春日学園少年野球クラブ様です。私は、長時間練習をはじめとした少年野球の旧態依然としたチーム運営体制に疑問を感じている中、偶然Webで春日学園少年野球クラブ様を知り、取り組み内容に大変感銘を受けました。このシステムは徐々に各所で広がり始めており、川崎市でこのシステムを採用したチーム運営をされているブエナビスタ少年野球クラブ様にもご協力をいただき、私も是非このようなチームを設立したいとご相談したところ、両チーム様ご快諾いただき、当クラブを立ち上げるに至りました。

私は旧来型の朝から晩までの長時間におよぶ過度な練習は、子どもの健全な成長を阻害する恐れがあると考えています。短期的(小学生のうち)には成果が出て、大会等で好成績を残せるかもしれませんが、蓄積した疲労で将来的に(高校などで)ケガ等を発生させるリスクをはらむと考えます。また、週末の時間を長時間野球に拘束されてしまうことで、他の習い事やイベントへの参加等が制限され、子どもが多様な経験や新しい価値観に触れる機会を奪ってしまいかねないと考えています。

2.罵声や高圧的な指導を完全禁止

子どもたちに対して恫喝するような指導が未だに根強く残っています。罵声からは何も生まれません。ただの言葉の暴力です。子どもは萎縮するだけで、その場の状況や、その子どもの行動が好転することはありません。また、野球では「ミスをすると罰を与える」指導方法が過去から現存しており、日本ではプロの世界でさえ罰走等のカルチャーが残っています。

当クラブでは、罵声や上から目線の高圧的な指導を完全禁止とします。また、ミスに対して何か罰を与えることもしません。指導者は、ティーチングではなく、コーチングを実践できる人材を揃え、子どもが自ら考え実行できるよう促す指導を実践します。そもそも、野球は基本的にミスのスポーツです。ましてや、小学生の野球ではエラーが頻発するのは当たり前です。小学生のうちは、ミスからどんどん学んでいければ良いと考えています。ミスを指摘するのではなく、まずは良いところを褒める、ミスが発生した場合は、なぜそうなったのか、選手と指導者が一緒に考えます。

3.野球を「楽しむ」

近年、東京23区内においては、野球禁止の公園が多く、気軽に野球やキャッチボールがができる環境がなくなっています。気軽に野球ができる環境がなく、一方で、ひとたびチームに入ってしまうと勝利至上主義で過度な練習があるため、ハードルの低い遊びの延長線にある野球をやる場所や機会はなかなかありません。

当クラブでは、野球に興味のある子を「野球好き」にして、小学生のうちにしっかり野球の基本を身につけてもらう。故障させずに、中学野球への橋渡しをする。また、大人になっても野球を楽しんでもらえるよう、「やらされている野球」ではなく、「好きだからやる野球」。選手も保護者も野球を楽しめることが最重要だと考えています。小学生のうちは、野球というスポーツを「楽しく」やってくれれば、それで良いと考えています。サザエさんのかつおくん、ドラえもんの、のび太くんたちがやっているような、空き地でみんなでたのしくやる野球を、このクラブで一緒にやりましょう。

4.科学的理論に基づいた指導

子どもの野球指導者のライセンスが体系化されていないため、「自称監督」「自称コーチ」が多いのが現状です。そのような状況では、理論ではなく、どうしても指導者自身の過去の経験や勘による、エビデンスに乏しい指導となってしまいがちです。また、最新の指導方法等のアップデートもされず、時代遅れの古式指導法(主に精神論)が永続してしまう要因となっています。

当クラブでは、コーチングスタッフに公認野球指導者資格(※)の取得を推進し、常に最先端の理論に基づく指導を実践しています。
※(一財)全日本野球協会公認野球指導者<U-12>

また、医師や理学療法士、トレーナー等の専門家の最新の知見を採り入れることで、小学生の心身の発達状況を考慮した、成長過程に寄り添ったトレーニングを行っています。短い練習時間の中で、いかに効率的に練習し、集中して上達できるか、子どもたちと一緒に指導者も勉強し挑戦しています。

5.父母会なし(設立不可)保護者の業務的な負担一切なし

一般的な少年野球チームでは、お茶当番、試合時の送迎配車分担、試合の審判等、保護者の出番が多く、負担が重すぎると感じています。特に夫婦共働きの場合、いくら子どもが「野球をやりたい」と言っても、「貴重な休日を全て子どもの野球のために捧げるわけにはいかない」というのが本音の保護者の方も多いのではないでしょうか。

当クラブでは、父母会なし(設立不可)。保護者の業務負担は一切なし。飲み物は各自で持参すれば良いですし、指導者はボランティアではなく謝礼を支払っているため、無駄な気遣いやご機嫌取りも不要です。運営に必要なスタッフはクラブ側で必要なに人数を用意します。

練習時の体調不良、ケガ等の発生時の手当のため、看護師の有資格者や医学生等の人材を配置しています。[特に、夏場の熱中症対策を万全に]、試合の審判は外部委託、保護者さまの練習ご参加も大歓迎ですが、強制は一切いたしません。)

6.勝利至上主義の否定

野球の進路利用により、大会で好成績を残すことだけを目指す。「チームの評価=大会の成績=指導者の評価」となっている現状があります。

当クラブは大人が誘導する勝利至上主義(いわゆる「お前ら、負けて悔しくないのか!?悔しいよな?」的な発想)を否定し、チーム組織全体でいかに戦略的に戦い試合で結果を出していくかを考えます。子どもたちが楽しくやっていく中で、選手個々の将来を見据えた成長、および目の前の試合で相手の得点をいかに少なく、自チームの点をいかに1点でも多くとるかという戦略的な観点、いずれも追い求めていきます。

7.肩、肘のスポーツ障害防止

肩、肘のスポーツ障害防止のため、学年ごとに厳格に投球数を管理し、MLBのピッチスマートを参考にして当クラブが独自に策定した学年毎のガイドラインの投球数以上は絶対に投げさせず、肘肩の故障を防止することで長く野球を楽しめるようにします。仮に、トーナメント戦で勝ち進んだとしても、徹底した投球数の管理により、同じ投手に投げさせ続けることはしません。「エースは痛くても我慢して投げるんだ。弱音を吐くな。」なんてことは当クラブにはありません。大人のご都合主義ではなく、長期的な視点で、何が子どもたちにとって幸せなのかを考えます。また、医師等の専門家による肘肩の定期検査を実施しています。

8.ロジカルではない声出しは行わない

何故か、野球の世界だけに存在する謎の声出し文化があります。例えば、試合中にベンチから聞こえてくる応援歌や、「あっしたー」(ありがとうございました)「しゃーっす」(お願いします)「オウェーイ」(はい?)等、野球特有の謎めいた挨拶や発声です。

当クラブでは、ロジカルではない(プレー上必要ではない、無駄な)声出しは行いません。また、野次またはそれに類するような対戦相手を萎縮させるような声も禁止します。社会では通用しない野球の世界でしか使わないドメスティックな挨拶や儀礼は汎用性がないため教えません。(礼儀を教えないというわけではありません。野球は礼に始まり礼に終わるスポーツです。社会で必要な礼儀についてはしっかり対応しています。)

プレー中の意味のない声出しは、無駄に体力を消耗するだけでなく、「声を出すこと」自体が目的化してしまい、野球のプレー上で本来必要な「声の意義」が薄れてしまいかねません。野球には、「指示の声」「確認の声」「励ましの声」などがあると考えており、危険を回避するため、より良いプレーを引き出すため、仲間や自分の気持ちを盛り上げるためなど、必要不可欠な「意味のある声」があります。みんなで「意味のある声」を出し合い、元気にプレーできるよう指導しています。

9.活動は休んでも構わない

家族旅行、家族のイベントごとなど、いろいろあると思います。そんなときな気にせずそちらを優先しましょう。野球より大切なこともたくさんあります。また、途中で、他の適性に気づいたら、他の道へ進めてあげることも一考です。子どもにはあらゆる可能性があります。他に興味があることができれば、途中で野球を辞めても全く問題ないですし、正しい判断だと思います。野球の動きが、他のスポーツで役立つことだってあるかもしれません。

一般的なチームでは、昔からの「根性論」や「同調圧力」的なものが根強く、練習、試合は休みづらい雰囲気や、休むという行為自体が暗黙の禁止事項になっていることがあります。また、チームを途中で辞めることを是としない雰囲気があります。嫌になってしまっても、他のことに興味が出ても、「一度やるときめた野球は最後まで歯を食いしばってやりぬく」ことを美徳として、子どもに無理を強いるような風潮がありますが、当クラブではこのようなことはありません。

なお、当クラブはそもそも練習の絶対量が少ないため、これまでご説明してきたとおり、短い練習時間の中でいかに効率的に上手くなっていけるかを追求していきます。しかし、週1回の練習でさえも頻繁に休むことになると、なかなか上達が見込めないことは、どうか予めご理解ください。